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院長BLOG

日本が成熟したペット大国になるために(20100617)
 日本はペット先進国ですが、飼主のモラルやマナーは世界でも最低と言われています。国が先導して現在モノ扱いされている動物にも人権や住民票を与え(当然住民税を納めますし、他人の敷地内で排泄したり、他人に迷惑をかけたらもちろん罰金です)、国民健康保険が適用されるようになれば(当然国民健康保険料を納めます)、ペット先進大国として国際的に注目されるでしょうし、その結果、飼主のモラルやマナーの向上も劇的に向上するのではないでしょうか。同時に動物病院における医療費も、健康保険証提示により人並みの自己負担で受けられるようになります。人も動物も安心して暮らせる、成熟した国になって欲しいと思います。
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ほんとに医師不足!?(20100602)
前回、獣医学部の学生の多くはペット診療医院に就職するため、公務員獣医師のなり手が減少し、食肉検査や疫病対策の現場は深刻な人手不足である状況を紹介しましたが、ヒトの医師も状況は同じで、不人気職(産婦人科医、小児科医、首都圏以外の病院勤務医など)は人手不足で、美容形成外科医などに人気が集中しているようです。
近年は完全に医師個人の好みで職場を選べるので、こうなるのは当たり前なのですが、医師不足というより、国家としての医師配属監督義務不足とでもいうのでしょうか。医療改革として単純に医師数を増やすのではなく、国が関与して人員配置をすべきです。医師は全員、国家公務員として国民のために存在するべきだと思います。さらに、医科大学と獣医科大学を合併し、獣医師も医師として国民のために奉仕する、という高い理念が必要でしょう。そうそれば、ペットブームに乗ってペット獣医師だけが過剰に増えたり、頭が良いというだけで、医学部を受験し、お金儲けに走るモラルの低い医師はいなくなるでしょう。何でも「官から民へ」ではダメだと思います。
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動物病院はサービス業!?(20100519)
実は私は学生時代に、公務員がいいヨと言う親の勧めで農水省を受験し、一次試験には合格したのですが、転勤が多い、仕事の大半は検疫や食肉検査、などと聞かされ、仕事内容に全く魅力を感じられずに二次試験をすっぽかしてしまった経験があります。
本来の獣医師の仕事は、家畜の疾病予防や食肉検査など、いわゆる産業動物に関わる公務員獣医師としての仕事です。近年のペットブームにより、多くの学生は個人経営の動物病院へ就職する一方、公務員獣医師を希望する学生は極端に減少し、家畜の健康や食の安全確保に危険信号が灯っている状態です。
近年のペット飼育頭数は頭打ちであるにも拘らず、動物病院は増え続け、既に飽和状態で、価格競争や過剰な設備投資合戦の様相を呈しており、勝ち組負け組みが二極化しています。
ヒトの病院は、過剰な経費節減が医療の質の低下につながり、利益を追求するあまり不適切な過剰医療を招くことを防ぐ意味合いから、株式会社の参入は禁止されています。一方、動物病院はほぼ完全に個人事業主や法人が経営しており、経費を節減しながら利益を確保するという、一般的な企業努力が生き残りを左右する状況です。意識の高いペットオーナー様の期待に応えるための設備投資、サービス提供が求められ、その為には利益を上げ続けなければならない。それが出来なければ潰れるしかない。国からの補助金等が無い一般企業としては当たり前の事なので、やはり社会的な位置としては、動物病院は病院ではなく、「純粋なサービス業」なのです。
私は開業当初より、「動物病院はサービス業」との認識を持ち、サービス内容にこだわってきました。「低価格」「値引き」等はサービスではなく、営業手段です。サービス内容ではなく、低価格に惹かれて来店するお客様に対するアピールでしかありません。我々は適切な獣医療の提供は勿論のこと、トリミング、ホテル、受付、その他全てをサービス精神で満たし、サービス競争で勝ち抜いて行きたいと考えています。
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開業獣医師の現実(20100509)
私は大手製薬企業の研究所にサラリーマンとして勤めていた経験がありますので、独立・開業するということは「自由」「一国一城の主」などのイメージを持っていました。しかし現実は自由が無く、一国一城の中に閉じ込められ、不安ばかりの毎日です。会社にいた時は何て大きな傘に守られていたんだろうと、社会の厳しさと自分自身の無力感を日々痛感しています。
動物の診療においては、獣医師一人では採血やレントゲンなどの検査が出来ませんので、複数の獣医師や動物看護士の雇用が不可欠です。しかし、以前のコラムでも触れましたが、アルバイト程度では対応できないレベルの仕事内容であることに加えて、長期安定勤続が難しいため、毎年の人件費や雇用に関する人事については常に悩みの種です。
動物病院は「何でも屋」ですので、人間の総合病院のようにたくさんの診断・検査機器を保有・維持し、薬局を院内に設置し、入院設備を清潔に管理し、十分に教育された複数のスタッフを常勤させなければなりません。動物を連れてバスや電車では通院しにくいことから、十分な広さの駐車場を用意しなければなりません。待合室は動物同士が喧嘩をしないように広めに取り、病院の中や駐車場ではわんちゃんが排泄してしまうので頻繁な掃除、消臭が欠かせません。
私は病院の上に家族と一緒に住んでいますので、毎日職場に寝泊りしているような感覚です。気分転換を図る事が難しいので、定期的な小旅行でリフレッシュしています。でも通勤時間は0分ですし、夜中の巡回も楽ですし、自分が好きで得意なこと(=臨床獣医学)を、家族のそばで実践して生活出来るという幸福感を、毎日実感出来ています。しかし家族も一緒に宿直室に住み込み、協力してくれているのですから、私の休日は専ら家族サービスです。
子供が「動物病院を継ぎたい」と言ってくれても、私は反対すると思います。獣医師に限らず、動物看護士、トリマー、訓練士、ブリーダーなど動物に関わる仕事は、一般的に成功率が低く、低収入で、労働環境が悪い所がほとんどです。「本当に」好きでなければ、やってられない仕事です。
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勤務獣医師の現実(20100428)
 前回は動物看護士について書きましたが、動物病院に勤務している獣医師もかなり厳しい仕事です。
獣医師になる為には、全国に16校(国公私立)しか設置されていない、獣医学科のある大学を6年間修了し、国家試験に合格して初めて獣医師の免許を手に出来ます。獣医師の就職先は多岐に渡りますが、動物病院で勤務する、いわゆる小動物臨床医の場合は、大学病院や個人開業の動物病院に就職し、研修医となります。
一般的な動物病院では、獣医師であっても受付、薬剤調合、会計、入院介護、外来診察、手術、各種臨床検査、掃除、事務作業など、トリミング以外の病院内の全ての仕事を行います。更に夜勤のある病院もあります。
給与も社会的ステイタスも、決して高くありません。動物病院は自由診療で、いわゆるサービス業に分類される業態ですので、お客様への接客、説明、クレーム処理なども仕事です。動物に嫌われる事(注射など)をするので、噛まれたり、引掻かれたりして大きな怪我をすることもあります。白衣を着て座って出来る仕事ではないのです。
そして何より大変な事は、犬、猫、うさぎ、フェレット、ハムスター、モルモット、小鳥など、一般的なペット動物それぞれについて、内科、外科、小児科、耳鼻科、皮膚科、産婦人科、歯科、腫瘍科、救急救命など、すべての診療科について勉強し、経験を積み、「何でも屋」にならなければならないことです。幅広い知識、多くの経験、手先の器用さ、そしてそれを支える体力と精神力、更には獣医科の医師であるという強い自覚が求められます。
動物病院における獣医師としての仕事が最低限出来るようになるまでには、少なくとも3年はかかります。免許取立ての獣医師は、正直言って、動物看護士よりも役に立ちません。3年間は死に物狂いでがむしゃらに頑張らないと、臨床医としてのスタート台にも立てないのです。
「一つの病院に3年間以上勤続する」ことが大事なんですが、3年もたずに辞めて行く獣医師が圧倒的に多いのが動物病院の現実です。何となく3~5年くらい数件の病院で研修し、次に行く所が無くなって、開業してしまいます。このような獣医師はスタート台に立つ準備がきちんと出来ていません。当院では、志を高く持って、長く勤務してくれる獣医師との出会いを常に期待しています。
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